こんにちは、さつきです。
今回は実際の患者さんをモデルに浣腸について少しだけお話します。
今回はグリセリン浣腸を使用しました。
グリセリン浣腸は腸内を刺激し、硬くなった便表面を柔らかくして排便を促します。
便秘、腹部違和感を主訴に来院された今回の患者さんに腹部の診察、浣腸の指導を行いました。
腸蠕動音は良好、腹部膨満も見られませんが患者さんによると下腹部に違和感があるとのこと。
ゼリーを肛門に塗って優しく内診を行います。柔らかいですが直腸内に便塊が触れて、前立腺も軽度肥大していました。
なかなか排便コントロールが上手くいかないようでしたので、ご自宅でも安心してできる浣腸をお伝えしました。
市販のグリセリン浣腸は医療用に比べて少量で、肛門に挿入するチューブも短く設計されています。
事故が起こる可能性は少ないですが、今回の指導でより浣腸を理解して頂ければ嬉しいです。
まずは浣腸を人肌程度に温めましょう。常温でも問題ないですが、直腸温度は体表の温度より少し高めです。冬場の寒い環境で保存していた浣腸液を入れてしまうと不快感や血圧の変動、腸痙攣を起こすリスクがあるので冷たさでびっくりしない程度にはしておきましょう。
①左に向いて横になりましょう。
大腸の走行的に左側臥位の方がよりグリセリン液を腸全体に行き渡せることができます。
②肛門にゆっくりと浣腸のチューブを入れていきましょう。市販のものは細いのでほぼ痛みはないですが摩擦が気になる方はワセリンやゼリーをチューブ先端につけて挿入してもよいと思います。
日本人は肛門と直腸の角度が鋭角になっている人が多いので、チューブを真っ直ぐ上に挿入するよりもややお腹側を目掛けて挿入した方がよりスムーズに入ると思います。
③浣腸液をゆっくり入れます。
注入速度が早すぎると液漏れしたり、排便反射が引き起こされてお薬が奥まで到達せずに排便してしまう可能性があります。市販のものであれば10秒程度かけて注入でちょうどいいです。
④便意が強まったら排便します。
3〜5分程我慢してもらうとグリセリンが腸内に浸透ししっかり効果を発揮させることができるのですが、我慢しすぎると中には迷走神経反射がおきる方もいるので個人的には便意が強まったらそのまま排便して頂いて良いと考えます。
※迷走神経反射とは…迷走神経が刺激され脈拍や血圧の変動がおこり、気分不快や失神などの症状が起きることです。
患者さんにはグリセリン浣腸による反応便を確認したいため、オムツ内排泄を指示しました。
普段健康な成人期である方はオムツで排泄しないのでわからないと思いますが、オムツ内で排便するのって結構難しいことなのです。慣れない体位と環境もありますが、他人から見られている羞恥心はなかなか形容しがたいものだと思います。
大変申し訳ないのですが、トイレに移動しようと暴れてしまったためやむを得ず包帯で抑制させていただきました。
オムツ内での排便は如何でしたか?排便状態を確認させていただいた後、陰部の清拭を実施したのでその後の不快感は軽減されたとは思いますが、慣れない環境で緊張したかもしれませんね。
今後も肛門の治療を根気良く続けていきましょう。